2009年11月05日
特定健診「1」
特定健診制度導入背景
日本が世界に誇るべき国民皆保険を堅持し、将来にわたり、社会保障制度全般を持続可能なものとしていくため、年金、介護の改革に引き続いて、平成18年6月、いわゆる医療制度改革関連法が成立しました。
改 革の最大の特徴は、国民の安心・信頼を確保しながら、できるだけ生活習慣病にならないようにする。また、長期入院を是正し、できる限り在宅またはこれに近い環境で暮らせるようにするなど、生活の質(QOL)を確保しながら、中長期的に医療費適正化を目指すとされたことです。そのため、国が示す基本方針に基づき、医療保険者が新たに「特定健康診査(特定健診)・特定保健指導」を実施することになりました。
特定健診とは
今回の医療制度改革の基本的な考え方の一つに、生活習慣病に対する予防の重視があります。
現在、国民医療費の3 割が生活習慣病で、死因別死亡率の6割が生活習慣病の原因となっています。不規則な生活習慣により肥満者が増加傾向にあり、その多くが糖尿病、高血圧、高脂血症の危険因子を併せ持ち、危険因子が重なるほど心疾患や脳血管疾患を発症する危険が増大しています。
そこで、個々の被保険者に対し、自主的な健康増進・疾病予防の取り組みをはたらきかけることが医療保険者の役割として重視され、そのため医療保険者にメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した生活習慣病予防のための健診・保健指導を実施することが決定されました。
食生活、飲酒、喫煙等さまざまな生活習慣の蓄積による糖尿病、高血圧などの生活習慣病を予防するためには、生活習慣そのものの改善が必要で、そのため健康管理、健康増進を目的に生活習慣そのものを改善して、発症を未然に防ぐことが求められています。
検査項目(必須項目)
1. 既往歴の調査(服薬歴及び喫煙習慣の調査を含む)
2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3. 身長、体重及び腹囲の検査
4. BMI(BMI=体重(㎏)/身長(m)2)の測定
5. 血圧の測定
6. GOT、GPT及びγ―GTPの検査
7. 中性脂肪、HDLコレステロール及びLDLコレステロール量の検査
8. 空腹時血糖及びHbA1c検査
9. 尿中の糖及び蛋白の有無の検査
【腹囲】
ヘソの高さのお腹の周囲=立位臍高部(りついさいこうぶ)を測った数値で、男性85cm以上、女性90cm以上だとメタボリックシンドロームの可能性が高いと判断される。
【血圧】
収縮期血圧130mmHg以上、且つ/または拡張期血圧85mmHg以上だとメタボ予備軍と診断される。
【BMI】
体脂肪量を表す数値。体重(kg)÷身長(m)の2乗で計算する。男性の場合20~25、女性は19~24の範囲が正常とされ、男女とも30以上になると肥満とされる。
【尿検査】
尿タンパクと尿糖
【血中脂質】
中性脂肪:150mg/dl以上 HDLコレステロール:40mg/dl未満
【血糖】
空腹時血糖値100mg/dl以上
検査項目(選択項目)
医師が必要と判断した場合は次の項目も検査が行われます。
検査項目(選択項目)
1. 心電図検査
2. 眼底検査
3. 血液検査(ヘマトクリット値、血色素量〔ヘモグロビン値〕、赤血球数)
階層化のステップ
ステップ1:腹囲とBMIで内臓脂肪蓄積のリスクを判定
腹囲:男性は85cm以上、女性は90cm以上 → (1)
腹囲:男性は85cm未満、女性は90cm未満、かつBMIが25以上 → (2)
ステップ2:検査結果、質問票より追加リスクをカウント
1.血糖…空腹時血糖値が100mg/dl以上またはHbAicが5.2%以上または薬物治療中
2.脂質…中性脂肪が150mg/dl以上またはHDLが40mg/dl未満または薬物治療中
3.血圧…収縮期の値が130mmHg以上または拡張期の値が85mmHg以上または薬物治療中
4.喫煙歴あり
ステップ3:ステップ1、2から対象者をグループ分け
(1) の場合:1~4のうち、2つ以上該当で「積極的支援」、1つは「動機づけ支援」を行う。
(2) の場合:1~4のうち、3つ以上該当で「積極的支援」、1~2つは「動機づけ支援」を行う。
ステップ4:以下の条件を踏まえて保健指導レベルを確定
前期高齢者は、積極的支援の対象となった場合でも動機づけ支援とする。
血圧降下剤などを服薬中の人は、医療保険者による特定保健指導の対象としない。
医療機関では、生活習慣病管理料、管理栄養士による外来栄養食事指導料、集団栄養食事指導料などを活用することが望ましい。
特定保健指導とは
特定保健指導は、階層化により「動機づけ支援」「積極的支援」に該当した人に対してのみ実施されます。
特定保健指導の目的は、対象者が自分の健康状態を自覚し、生活習慣の改善のための自主的な取り組みを継続的に行うことができるようにすることにあり、対象者が健康的な生活に自ら改善できるよう、さまざまな働きかけやアドバイスを行います。
動機づけ支援・・・生活習慣の改善を促す原則1回の支援が受けられます。
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門家が原則1回の動機づけを行います。計画どおり効果が出ているかなどを評価します。
[例:個別支援、グループ支援など]
積極的支援・・・3ヵ月以上、複数回にわたっての継続的な支援が受けられます。
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門家が3ヵ月以上の定期的・継続的な働きかけを行います。計画どおり効果が出ているかなどを評価します。
[例:個別支援、グループ支援、電話、Eメールなど]
特定保健指導の内容
情報提供
情報提供は受信者が健診結果から自らの健康状態を認識し、生活習慣を見直すきっかけを与えることを目的としています。健診受診者全員が対象となります。
支援頻度・期間
年1回、健診結果と同時に実施されます。支援内容は受信者全員に画一的な情報を 提供するのではなく、健診結果から各個人に合わせた情報が提供されることが求められています。健診結果や質問票から、特に問題がないと思われる受診者に対しては、健診結果の見方や健康維持や増進に役立つ情報が提供されます。
情報提供の内容
■健診結果:健診の意義や健診結果の見方について
■生活習慣について
・臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)や生活習慣病に関する基本的な 知識
・食事バランスガイドや運動指針に基づいた食生活と運動習慣のバランス
・料理や食品のエネルギー量や生活活動や運動によるエネルギー消費量
・受診者の状況にあった具体的な生活習慣の改善方法
■ 生活習慣改善のため利用できる施設などについて
受診者の居住地域で利用できる健康関連施設やスポーツクラブ、健康に配慮した 飲食店や社員食堂に関する情報を提供。
動機づけ支援
動機づけ支援は対象者への個別支援又はグループ支援を通して、対象者の生活習慣を見直すための行動目標を立てられるよう支援するものです。保健指導終了後、対象者 がすぐに実践・継続できることを目指します。対象者は健診結果・質問票から、生活習慣の改善が必要であり、そのための支援が必要と判断された人です。
支援期間・頻度
原則1 回の支援とします。
日本が世界に誇るべき国民皆保険を堅持し、将来にわたり、社会保障制度全般を持続可能なものとしていくため、年金、介護の改革に引き続いて、平成18年6月、いわゆる医療制度改革関連法が成立しました。
改 革の最大の特徴は、国民の安心・信頼を確保しながら、できるだけ生活習慣病にならないようにする。また、長期入院を是正し、できる限り在宅またはこれに近い環境で暮らせるようにするなど、生活の質(QOL)を確保しながら、中長期的に医療費適正化を目指すとされたことです。そのため、国が示す基本方針に基づき、医療保険者が新たに「特定健康診査(特定健診)・特定保健指導」を実施することになりました。
特定健診とは
今回の医療制度改革の基本的な考え方の一つに、生活習慣病に対する予防の重視があります。
現在、国民医療費の3 割が生活習慣病で、死因別死亡率の6割が生活習慣病の原因となっています。不規則な生活習慣により肥満者が増加傾向にあり、その多くが糖尿病、高血圧、高脂血症の危険因子を併せ持ち、危険因子が重なるほど心疾患や脳血管疾患を発症する危険が増大しています。
そこで、個々の被保険者に対し、自主的な健康増進・疾病予防の取り組みをはたらきかけることが医療保険者の役割として重視され、そのため医療保険者にメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した生活習慣病予防のための健診・保健指導を実施することが決定されました。
食生活、飲酒、喫煙等さまざまな生活習慣の蓄積による糖尿病、高血圧などの生活習慣病を予防するためには、生活習慣そのものの改善が必要で、そのため健康管理、健康増進を目的に生活習慣そのものを改善して、発症を未然に防ぐことが求められています。
検査項目(必須項目)
1. 既往歴の調査(服薬歴及び喫煙習慣の調査を含む)
2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3. 身長、体重及び腹囲の検査
4. BMI(BMI=体重(㎏)/身長(m)2)の測定
5. 血圧の測定
6. GOT、GPT及びγ―GTPの検査
7. 中性脂肪、HDLコレステロール及びLDLコレステロール量の検査
8. 空腹時血糖及びHbA1c検査
9. 尿中の糖及び蛋白の有無の検査
【腹囲】
ヘソの高さのお腹の周囲=立位臍高部(りついさいこうぶ)を測った数値で、男性85cm以上、女性90cm以上だとメタボリックシンドロームの可能性が高いと判断される。
【血圧】
収縮期血圧130mmHg以上、且つ/または拡張期血圧85mmHg以上だとメタボ予備軍と診断される。
【BMI】
体脂肪量を表す数値。体重(kg)÷身長(m)の2乗で計算する。男性の場合20~25、女性は19~24の範囲が正常とされ、男女とも30以上になると肥満とされる。
【尿検査】
尿タンパクと尿糖
【血中脂質】
中性脂肪:150mg/dl以上 HDLコレステロール:40mg/dl未満
【血糖】
空腹時血糖値100mg/dl以上
検査項目(選択項目)
医師が必要と判断した場合は次の項目も検査が行われます。
検査項目(選択項目)
1. 心電図検査
2. 眼底検査
3. 血液検査(ヘマトクリット値、血色素量〔ヘモグロビン値〕、赤血球数)
階層化のステップ
ステップ1:腹囲とBMIで内臓脂肪蓄積のリスクを判定
腹囲:男性は85cm以上、女性は90cm以上 → (1)
腹囲:男性は85cm未満、女性は90cm未満、かつBMIが25以上 → (2)
ステップ2:検査結果、質問票より追加リスクをカウント
1.血糖…空腹時血糖値が100mg/dl以上またはHbAicが5.2%以上または薬物治療中
2.脂質…中性脂肪が150mg/dl以上またはHDLが40mg/dl未満または薬物治療中
3.血圧…収縮期の値が130mmHg以上または拡張期の値が85mmHg以上または薬物治療中
4.喫煙歴あり
ステップ3:ステップ1、2から対象者をグループ分け
(1) の場合:1~4のうち、2つ以上該当で「積極的支援」、1つは「動機づけ支援」を行う。
(2) の場合:1~4のうち、3つ以上該当で「積極的支援」、1~2つは「動機づけ支援」を行う。
ステップ4:以下の条件を踏まえて保健指導レベルを確定
前期高齢者は、積極的支援の対象となった場合でも動機づけ支援とする。
血圧降下剤などを服薬中の人は、医療保険者による特定保健指導の対象としない。
医療機関では、生活習慣病管理料、管理栄養士による外来栄養食事指導料、集団栄養食事指導料などを活用することが望ましい。
特定保健指導とは
特定保健指導は、階層化により「動機づけ支援」「積極的支援」に該当した人に対してのみ実施されます。
特定保健指導の目的は、対象者が自分の健康状態を自覚し、生活習慣の改善のための自主的な取り組みを継続的に行うことができるようにすることにあり、対象者が健康的な生活に自ら改善できるよう、さまざまな働きかけやアドバイスを行います。
動機づけ支援・・・生活習慣の改善を促す原則1回の支援が受けられます。
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門家が原則1回の動機づけを行います。計画どおり効果が出ているかなどを評価します。
[例:個別支援、グループ支援など]
積極的支援・・・3ヵ月以上、複数回にわたっての継続的な支援が受けられます。
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門家が3ヵ月以上の定期的・継続的な働きかけを行います。計画どおり効果が出ているかなどを評価します。
[例:個別支援、グループ支援、電話、Eメールなど]
特定保健指導の内容
情報提供
情報提供は受信者が健診結果から自らの健康状態を認識し、生活習慣を見直すきっかけを与えることを目的としています。健診受診者全員が対象となります。
支援頻度・期間
年1回、健診結果と同時に実施されます。支援内容は受信者全員に画一的な情報を 提供するのではなく、健診結果から各個人に合わせた情報が提供されることが求められています。健診結果や質問票から、特に問題がないと思われる受診者に対しては、健診結果の見方や健康維持や増進に役立つ情報が提供されます。
情報提供の内容
■健診結果:健診の意義や健診結果の見方について
■生活習慣について
・臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)や生活習慣病に関する基本的な 知識
・食事バランスガイドや運動指針に基づいた食生活と運動習慣のバランス
・料理や食品のエネルギー量や生活活動や運動によるエネルギー消費量
・受診者の状況にあった具体的な生活習慣の改善方法
■ 生活習慣改善のため利用できる施設などについて
受診者の居住地域で利用できる健康関連施設やスポーツクラブ、健康に配慮した 飲食店や社員食堂に関する情報を提供。
動機づけ支援
動機づけ支援は対象者への個別支援又はグループ支援を通して、対象者の生活習慣を見直すための行動目標を立てられるよう支援するものです。保健指導終了後、対象者 がすぐに実践・継続できることを目指します。対象者は健診結果・質問票から、生活習慣の改善が必要であり、そのための支援が必要と判断された人です。
支援期間・頻度
原則1 回の支援とします。
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